「世にない物を生み出す」職人の企業ロゴやツールデザイン
兵庫県加東市の100年以上続く建築会社「匠工房」様より、グループブランドのロゴやツールを制作させていただきました。「世にない物を生み出す」ことを企業理念にかかげておられ、その事業は建築にとどまらずアプリ開発や映像、IT事業と幅広く展開されています。
1.Coastal House
匠工房様の社内ブランドである「CoastalHouse」のロゴリデザインやツール制作をさせていただきました。アメリカ西海岸をテーマにコンセプチュアルな住宅を提案される為、現在の事業イメージとは変えて展開したいとのご要望でした。たまたま担当の方が僕のお仕事の商品をご存知で、希望のイメージと近いということでご依頼いただきました。まずは希望のイメージを完全に共有するところからスタートしました。目標となる完成形のイメージへ、クライアント様と僕が同じ方向を向けているかを重視して制作しました。
ーイメージの基礎は事業内容外から抽出
指針となるイメージは、様々な画像やワードで担当の方と細かくすり合わせをしていきました。そこに他工務店情報やの住宅等、事業に直結する画像はあえて入れませんでした。最終住宅を買われるお客様が求めるものは、理想とされる暮らしのスタイルだと思ったからです。そのためイメージを固める際、モチーフとなるアメリカ西海岸の生活スタイルやカフェ、雑貨や価値観等の資料を揃え共有しました。
2.kagura建築デザイン事務所
ビルなどの施設建築事業展開として、新たに立ち上げる「kagura建築デザイン事務所」のロゴデザインと名刺を制作させていただきました。ロゴは「ハニカム」形状をモチーフとし、安定感や安心感につなげました。縦と矢印状の斜めのラインで構成されており、縦は「都市・建造物」矢印は「人や物、時代の流れ」を意味しています。それらが交わることでロゴマークになるようデザインし、「これからの都市づくり」を表現しました。また、マークの中に「kagura」の「K」を隠し込み、ロゴタイプとの親和性を狙いました。
ー商材の資質を自身の思考にトレース
都市でのビル等の建築物は頑丈さや安定、安心といったいわゆる「しっかりした」イメージが必要となります。ロゴ等をデザインする際、その資質も含めてデザインしなければいけません。その為に、自身を大型建築物と見立て思考しました。形状は安定を目指し、より合理的なデザインを求めるようになりました。そこに個性的な形状というクライアント様の意志も加わり、より強いイメージへと進むことができました。
3.匠工房
グループのメインである「匠工房」のロゴデザインと名刺を制作させていただきました。目指したのは”伝統” と ”近代” のハイブリッド。職人の間で使用されていた江戸文字を現代解釈したロゴマークにTAKUMI KOBOの「T」と「K」を隠し込みました。ロゴを囲む円は日本の伝統的な紋としての表現だけでなく、四方に突起をつける事で「コンパス」を表し、”世界に向けての挑戦” や、”グローバルの中心地”等を表現。「匠」の漢字を極限まで図形として捉える事で“和の伝統感をグローバルな視点で再構築する” 事を表現しました。
ーコンセプトを制作過程にリンクさせる
コンセプトである”伝統” と ”近代” のハイブリッドを、制作のプロセスとして組み込みました。100年以上の歴史を持つ「匠工房」様。そこには多くの職人達が携わってきました。そこでメインのマークのモチーフに江戸文字を採用しました。紋状のロゴは現在多く見られます。そこでオリジナリティを表現するには紋そのものにもストーリーが必要と考えました。職人としての100年の歩みとこれからの指標を順序立ててデザインすることで、伝統的でありこれからの時代に繋がっていける普遍的なロゴを目指しました。